ウチナーンチュは土人か?芥川賞作家・目取真俊を土人呼ばわりして面罵するとは!

 二宮から帰ってきて新聞報道で知って、驚き、あきれている。
 沖縄、東村高江の米軍北部訓練場で、本土から投入された警察隊員が抗議の一般市民たちにかなり手荒なことをしているというのは、浦島悦子さんとの電話のやり取りで知ってはいた。しかし、まさかウチナーンチュを「土人」呼ばわりしているとは。
 10月22日の沖縄タイムスのネット版には、写真入りで大阪府警の警察隊員が4人がかりで目取真さんをとりおさえ、はっきりと「この土人が」と言っている画像まで掲載されているのだ。
 問題の住民への発言は、同じくタイムスの動画でもみることができた。
 フェンスの向こうから、抗議する市民に対して「触るな、クソ。どこ掴んでんじゃ、ボケ、土人が」と大阪警察署の警官が巻き舌でどなっている。女性の声で、なにをいってもあなたの言動は録画されてますよ、という声が入ると、口調は急におとなしくなるのだが、すぐに激昂してすごみのある声を出す。「やくざか、やくざ」と言われてさらにエスカレートしていく模様がわかる。「黙れ、シナ人」と暴言が続く。
 このような現場では、双方ともどんどんエスカレートしかねないが、抗議しているのは一般市民であるウチナーンチュ、ヤマトンチュである。
 1903年に大阪で開催された博覧会で、『七種の土人』と題して、ウチナーンチュの女性ふたり、朝鮮人、台湾先住民が「展示」された「人類館事件」があったことを、思い出して沖縄の人々はどんな気持ちになるであろうか。
 さらに、大阪府松井一郎知事が「表現が不適切だとしても、一生懸命、命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様」とツイッターに書いていたことを知って、あきれてしまった。
 今日の10月21日の朝日新聞のオピニオン&フォーラムの欄に一般の読者の投稿が載っていたが、その通りである。引用してみたい。
『一般企業では重大な局面に社員を派遣する場合、しっかり本人の資質を見極め、教育をするものだ。今回、警察はそれをやったのか。これまでの政府の力づくの進め方を見た警察官がおごった意識で、抗議する住民を排除している面があるようでおそろしい』
 『地元住民の理解が得られないどころか、不信感はさらに募るだろう。こうして建設された基地が果たして、安全保障面で十分に機能できるのか。大いに疑問だ』
 さきほど、パソコンやタブレットの使い方がわからず、契約しているプロバイダー会社に電話相談で操作方法を教えてもらったが、その時の担当者がわたしがなかなかタブレット操作ができないのにいらついているのがわかり、つい、もう少しやさしく対応してもらいたい、と伝えた。一般企業なら、ユーザーから「対応が悪い」「ことばづかいが無神経」などというクレームがついたら、お客さまコールセンターからその情報は伝わり、担当者への電話対応スキルの徹底を強化するだろう。
 警察へのそのような教育は誰がするのか。
 警察官を教育しているのは、だれなのか。
 新聞社の記者ハンドブックに『差別語』とされている言葉を住民に対して投げつけるのは、だれが教えているのだろうか。
 そこに国家の考え方が投影されているのではと感じてしまうのは、この朝日の投稿者ならずとも誰もが抱く感想ではないだろうか。
 沖縄の住民たちが、東京銀座で行った『オスプレイ配備反対』のデモに対するヘイトスピーチも、あった。
 沖縄と本土の温度差を、さらに大きなものにするような今回の『土人』発言は、つらい。こころある人たちは、いまの沖縄の状況をみて、自分でも何かできないかと思っている。自分たちなりに一歩を踏み出そうとしている。
 そう信じたい。

 このたび、二宮町の町議会議員一石洋子さんのご縁で、11月5日(土)二宮町 ラディアン花の丘公園で15時〜19時に開催される「海と山と空と」フェス〜おきなわんナイト〜に協力させていただくことになった。先日、彼女の事務所で、「海と山と空と」フェス実行委員会のメンバーの女性たちにもおめにかかった。

 急きょ、ラディアンの展示ギャラリー2の廊下では、大森一也さんの写真展と、父親・山本義一の竹富島の風景画が展示される。辺野古で一部始終を見ている作家・浦島悦子さんの「大浦湾からの報告」の文も配布されるはずだ。
 この機に、二宮町の方々に沖縄のことを知っていただけるのであれば、これほどうれしいことはない。このフェスティバルをどうか次のステップにつなげていただきたい。
 実行委員会の女性たちのなかには、浦島さんにやんばるのガイドをしてもらい一緒に森を歩いた方、ホームレスの雑誌「ビッグイシュー」をテーマに『ビッグイシューと陽気なホームレスの復活戦』を執筆した町議会議員のつゆき佳代さんもいらした。
 沖縄では女が男を守るとされる。「うなり神」信仰である。
 わたしは「二宮のうなり神たち」と出会ったことにこころから、感謝している。
 うなり神たちと手を携えて、沖縄フェスに少しでも関わることができた幸運をいまさらながら噛みしめている。
 当日は、竹富島にいるけれども、竹富島の絵を描いた父の絵にすべてを託して、この日ばかりはマブイをあちこちに瞬間移動させたり、パラレルワールドを行ったり来たりして、フェスティバルの成功を見守りたいと思う。
 二宮と沖縄の共通点についても、いつか二宮のうなり神たちと語り合いたいと思っている。