漫画家細川貂々一家と竹富島最大の祭、種子取祭に行ってきました。

 2016年の竹富島、種子取祭は11月4日と5日が芸能奉納の日だった。
 11月2日には石垣島に入り、翌3日には漫画家細川貂々さん一家と合流して、竹富島へ。細川一家の石垣空港へのお迎えは、写真家大森一也さんが車で行ってくださった。


 さっそく、雑誌「やいま」取材のため、港にできていた具志堅用高の像の前で撮影。
 前日に買い込んでいた食料をもって、いざ竹富島へ。
 こんかいは、種子取祭を一家で体験してもらうという雑誌企画のため、同行取材である。
 細川一家とは、3月に南城市ハーブ工房「花ふう」、首里八重山料理の店「潭亭」でのぬちぐすい体験をご一緒してから、8か月ぶりの再会だ。
 このときわたしは「島ハーブ」と「ぬちぐすい」を紹介する案内人として、編集者とともに細川一家と沖縄に滞在した。
 このときのぬちぐすい体験は、本日11月15日、JTBパブリッシングより刊行されるコミックエッセイ『ツレ元気、からだにいいゴハン計画』(細川貂々著)にまとめられている。

 貂々さんは、できたてほやほやの見本本をもって、石垣島へ来てくれていたので、港近くの山田書店に営業に行く。あいにく店主は不在だったが、色紙とサイン本を渡して置いたので、八重山のでは初の貂々本を取り扱ってくれる書店となった。
 山田書店は、わたしも『ヤマト嫁 沖縄に恋した女たち』、『島唄の奇跡 白百合が奏でる恋物語』の出版の時に、大変お世話になった。
 なにしろ沖縄本島は取次が扱ってくれるので流通するのだが、八重山には取次が回してくれないのか、本が入ってこないことも多いのだ。地元の書店さんががんばってくれるおかげで、離島のみなさまにも知ってもらえるのだから、とりわけ、離島に嫁いできた女性たちの人生を描いた『ヤマト嫁』のときは、山田書店が注文を入れてくれてありがたかったものだ。
 さて、宿泊は種子取祭の間はどこもいっぱいで、わたしはいつも泊まっている大浜荘の母屋の座敷に親戚の方々と泊まるはずだったが、細川一家の隣の部屋に宿泊できることになった。が、食事なしの素泊まり。朝食のパンや軽食持参である。
 祭の間は、島人は祭の芸能奉納に出演したり、裏方にまわったり、また家族や親せきが出演するのを観劇したり、島出身者が帰ってくるのを迎えたり、と民宿営業どころではない超過密スケジュールが待っているのだ。
 4日は会場となる世持御嶽での東と西の集落の芸能奉納、その晩はユークイというほぼ徹夜の行事が行われ、翌5日は早朝五時から世持御嶽での芸能奉納が行われる。二日目の芸能は、仲筋集落のものが奉納される。
 民宿に到着すると、種子取祭には欠かせない行事食、イーヤチ(飯初)を作っていた。



 粟と小豆と糯米を炊いたものを、大きな専用のへら、イビラで練り上げて、(昔は釜で煮て板にのせた)浜に生えているはまゆうの茎で成形する。はまゆうの白い茎がラップのような働きをするのでこれを使って容器に入れて置いておくと、あら不思議、きれいにかたまり、神へのにお供えに、また祭の間中の保存食となる。
 粟は祭のひにちを統一した根原神殿がもたらしたとされているのだが、いままさにイーヤチを練り上げている大浜荘の娘が根原家に嫁いでいるのも、なにか不思議な気がする。
 イーヤチは『イーヤチカミ』といって、出来上がったイーヤチは、まずは女の姉妹がいただくのが習わしだ。うなり神信仰と結びついているのかもしれない。
 できあがったイーヤチをまずは女性陣でいただいて、一服。
 夕方近くになると、世持御嶽ではフクミと呼ばれる予行練習がもうはじまっていた。