『沖縄 愛楽園』での山本義一展示が決まりました!その2

 山本義一の『沖縄 愛楽園』交流会館での展示が決まった。

 実家で『噫、牡丹江よ!』を額装したのだが、これが予想外に大変な作業だった。
 父のお弟子さんの渡辺さんに来てもらって、外枠から外してまかれてあったキャンバスを広げ、すでに外枠に入っている百号の絵にかぶせてみたら、なんと『噫、牡丹江よ!』は百号をはみだしてしまう。
 これは変型なのか、それとも百二十号なのか。
 てっきり百号作品と思い込んで購入済みの額は、役に立たないことになってしまう・・・。ほかの絵は百号しかない。
 お弟子さんが、急きょ、足りない部分を木材とダンボールで付け足してみようというので、狭いアトリエから木材をおろしてくる。
 父親は外枠も、また大きな絵の場合は額を手作りしているものもあった。
 渡辺さんも父親から教わったというので、つかえそうな木切れを使って、急きょ大工仕事である。
 暑さでへとへとになりつつ、外枠は完成したが、裏をみたら継ぎ接ぎで、まさに大笑いの代物である。
 妹に電話で百二十号の額縁をネット注文してもらい、それが届いてからまたお弟子さんと作業に取り掛かった。しかし、こんどはなんと額ではなく、届いたのは外枠だった!
 あわてて額業者に電話すると、手作りした外枠では、百二十号の額を注文しても、狂いが出てしまって、無理だという。手作りのものはやめて、届いた桐の外枠にやり直したほうが賢明だといわれてしまった・・。
 確かに素人がテキトーに張っているので、おそらく狂いが出るだろう。それは作業中にうすうす気が付いていた。額装を手作りするということは、指物師の仕事に近い。多少は大工仕事ができなければ、むずかしい。ほんとうに大変なことなのだ。
 父親の狭いアトリエには、たくさんの木切れや、釘やねじや、大工道具、設計図などがあり、お弟子さんがいうようにおおきな絵は自分で額装するようになっていったのだろう。大きい額は実際高いし・・。
 結局、額縁業者のいうとおり、届いた百二十号の外枠に絵を張り直してみる。多少のゆるみがでるものの、父親が使っていたホチキスの大型状のものを使って外枠を張ってみると、手作りよりはだいぶいい。
 昨日までは画鋲でキャンバスを段ボールにとめていたのだが、それでは、船便で送るのには無理があっただろう・・。
 「お父さんはなんでも自分で作っていたし、いろんなものを使って工夫していた」
「大きな絵を描きなさいといって、20号から画き始めるように教わったし、自分で外枠の付け方も教えてくれた」と渡辺さんは教えてくれたが、わたしにはどう考えても無理である。
 逆にいまお金をかけてきちんとしておこうと、百二十号の額を注文する。
 到着を待って、ようやく額装ができた。
 額装している場所は、父親の遺影のある和室である。まさに一部始終をみていた父。こんなに立派に額装できて、きっと父親も喜んでいるはずだ。
 そういって、渡辺さんと記念撮影をした。

 あとでこの写真をみると、なんと和室の電気のスイッチの紐が写りこんでいる!
(後日、愛楽園展示のための葉書を作っていて、気がついた)
 大きな絵を撮影するのは引きがないとむずかしいものだということも知った。
 翌日は渡辺さんとおなじく父親のお弟子さんの奈良淑子さんが出品している平塚市美術館によって、お二人の絵を見ることにする。
 奈良さんの『静謐』というタイトルの女性の絵はなかなかステキだった。

 その日が展示の最終日、おふたりと会って、東海道線にのって、いや上野東京ラインにのって、帰途についた。
 展示のお知らせの葉書を作成した。
 百号の絵ではなく、百二十号という大作『噫、牡丹江よ!』は、いかに山本義一にとって大切な絵であったのか。
 生涯たった一枚の戦争絵画であり、おそらく120号の絵もまた生涯にこの絵だけではないかと思う。
 たくさんの方にご高覧いただければ幸いです。

● 会場 沖縄県名護市済井出『沖縄 愛楽園』交流会館

● 期間 2015年8月20日〜9月20日(月曜・祝日休館)
● 時間 10時〜17時 無料
☎ 0980−52−8115(愛楽園自治会)