山本義一遺作展はお客様に教えられることばかり!
翌日の朝、搬入の方に頼むと心よく追加の絵を運んでくれることになり、入れ替えの絵を運ぶ。
会場には昨夜、展示を変えるように提案してくれたお客様がすでにきており、会場時間までの1時間で作業を終えねばならない。
しかし、彼はただの入れ替えでなく、とんでもない展示構成を提案してきたのだ。
ええぇ?
また変えるのかぁ〜。
もう時間ない!考え込む彼に少々いらだちを隠せないわたし。
と、そこへ「ノジュール」で取材させてもらった野菜栽培家の宮原さんがみにきてくださった。
もたつきつつあーだこーだやっているのを見て、脚立に乗って作業を手伝ってくださった。
宮原さんが帰ったあとも、なかなか終わらない。
いよいよお客様が次々とやって来る。
そのとき、彼の示した展示にわたしは、脱帽した。
なんと隠すように展示していた、「いわくつき」弓道の絵を、エントランスの柱部にもってくるというものだった。
これが、まるで矢印が会場入り口をしめしているかのようになる。
柱の裏がわにも、弓を引く人の絵を配置すると、矢が出口を示しているようになるのだった!会場へ誘い人の流れを誘導する入口と出口。
隠すのでなく、むしろ前面にだすことで、まるで人物が案内する看板のような効果を生み出すのだ。
彼は言った。
あまり意味や場所にこだわらなくてもいいのかも。
新しい展示は暗号としての効果も、見た目の効果も、兼ね備えているものであった。
わたしは感心した。
後でいらした弓道の方も、納得していたようだった。
人に任せることで、結果オーライどころか、逆転勝利である。
お客様は神様、というのは、このあともまたまた続いた。